2.5じげん

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村上春樹と夏目漱石

*途中で村上春樹氏、夏目漱石氏の小説の内容に触れています。お気をつけ下さい。

 

 

 

誰もそんなこと言っているのを聞いた事がないけれど、私は村上春樹と、夏目漱石の小説はとても似ていると思っている。

 

 

どうしてそう思ったか。高校生の頃、同時期に「ノルウェイの森」と「こころ」を読んだ私は、いたって自然に「この2つはまったく同じ事を書いているではないか」と思ったのだ。

 

 

さて、その後私はたくさんの村上春樹の作品と夏目漱石の作品を読み、

なぜ高校生であった当時、その2冊が同じ物と感じたのかのを考えた。
 

まあ簡単に考えるとその「設定」である。

 

一つが主人公が「高等遊民」であること。

(村上さんの主人公は働いてはいるが、いわゆる普通のサラリーマンとは言えず、時間とお金を自分の自由に使える人が多い)

 

もう一つが、「三角関係」と「自殺」が物語にちりばめられていることだ。

 

 

「設定」だけか、と思われるかもしれないが、

 村上氏の小説は、デビュー作からほぼすべての小説において「三角関係」があり「女性が自殺」する。「三角関係」なんて小説ではよくある設定ではないかとお思いの方、「ほぼすべて」ですよ?これは偶然ではなく、村上氏にとっての小説を書く上での縛りというか、作者にとって毎回消化しなければならないテーマであるのだと理解している。

 

で、三角関係といえば、夏目漱石である。彼の小説には三角関係や不倫が繰り返し登場し、「三角関係三部作」と言えるものまである。(「こころ」「それから」「門」)

 

そう、2人とも、軽い文体で執拗に、何作にも渡り、時に登場人物を変えながら、何度も何度もこの「三角関係」をテーマを選んでいる。ここまで執拗に取り組んでいる設定が、同一であることは果たして偶然なのだろうか?

偶然であろうと、偶然でなかろうと、「自分の中にわだかまりを残した、小説を書くにいたる初期衝動」が、この2人は似ているような気がするのだ。

そして文体、読んだ感触、生活の習慣が。

 

 

 

ところが私は先日びっくりな記事を発見した。 

 

 

 

www.welluneednt.com

 

 

サイト自体は3月末まで公開だそうなので、ブックマークも消えてしまうのだろうか?(追記:消えました)

 

私が驚いた記事の内容をかいつまむと、このサイトは作家の村上春樹氏がランダムで読者からの質問に答えるサイトで、「こころ」の良さを伝えたいという高校の国語教師に対し、村上春樹氏が、夏目漱石氏の「こころ」の良さは「よくわからない」と答えたのだ。

 

私はいつの日か村上氏の夏目漱石評が読みたいと思っていたのだが、こんなにあっさり否定されるとはびっくりした。でもなんとなく諦めきれない。村上先生、本当ですか?

 

それから (新潮文庫)

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